ひまわりを使った除染について‏

2011年8月14日

皆さんにお知らせして欲しいということですので、転送大歓迎です。

以下転送
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 ヒマワリ栽培による放射能汚染土壌の浄化は可能か
——– 土壌浄化に対する見解 ——-

2011年8月17日
チェルノブイリ救援・中部

一部報道機関等で、チェルノブイリ救援・中部が放射能で汚染された土壌浄化の手段
としてヒマワリ栽培を推奨しているかのような報道がされていますが、そのような事
実はありません。逆に、チェルノブイリ救援・中部としては、ヒマワリ栽培に対する
危惧を抱いています。以下にその理由を述べ、さらに土壌浄化に対するチェルノブイ
リ救援・中部の考え方をまとめました。何とかして土壌中の放射能を取り除きたいと
いう気持ちはとても大切に感じますが、確かなデータに基づかないまま流布される情
報で行動を起こした場合、後から大きな負担を背負うことになる危険が少なからずあ
ります。今回の見解および考え方が、今後土壌浄化を考えるみなさまにとってお役に
立てば幸いです。

1.ヒマワリ栽培による土壌浄化に対する見解

1) 土を掘り起こすことの問題
現在、福島原発事故による土壌の放射能汚染のほとんどは、表面数cmの土に固着した
放射性セシウム(放射線を出すCs134,Cs137)によるものです。したがって、ヒマワ
リを植える際に土を掘り起せば、表面付近の放射性セシウムを深さ10~20cmのところ
まで混ぜ込んでしまうことになります。汚染された土が表面数cmであれば、取り除け
る可能性もありますが、数10cmになってしまうと、表土剥離で汚染土壌を取り除くこ
とは不可能になります。

2) ヒマワリの土壌中の放射能吸収能力に対する疑問
ヒマワリの根が表面数cmの部分に上手く張るとは限らないこと、仮に根が上手く張っ
たとしても、土壌中の水分に溶け出した放射性セシウムは吸い上げられるかもしれな
いが、土に固着している放射性セシウムを奪うのは難しいことから、土壌浄化は容易
でないと考えられます。水耕栽培でヒマワリが放射性セシウムを吸い上げたという論
文はあるようですが、土壌中の放射性セシウムを効率よく吸い上げたという報告は耳
にしません。私たちが、現在チェルノブイリ原発事故で放射能汚染の被害を受けたウ
クライナのナロジチ地区で実施している菜の花プロジェクトにおいて、菜の花が1年
間に吸い上げる放射能は土壌中の数%にすぎません(それでも農地利用に対しては効
果があります。詳細は後述)。その菜の花よりもヒマワリの方が、土壌中の放射能を
吸い上げる能力が低いという論文もあります。

3) バイオマス(種・葉・茎・根など)の処分に対する懸念
ヒマワリがどれだけの放射能を吸い上げるかは未知数で、なおかつ、土壌の汚染レベ
ルや土壌の性質によっても吸い上げる量は異なります。さらに、種・葉・茎・根のど
の部分に多く集まるかも分からないため、汚染の度合いを逐一ていねいに測定しない
かぎり、バイオマスはすべて放射能で汚染されたものとして処分を考える必要が生じ
ます。ヒマワリは大きく育つので、バイオマスの量がとても多くなります。バイオマ
スの量を減らす手段のひとつとして、メタン菌による分解・発酵(菜の花プロジェク
トでは、この方法を使って発生するバイオガスを利用)がありますが、ヒマワリには
木製成分(リグニン)が多く含まれるためこの方法には向きません。バイオマスの量
を減らせないと、大量のバイオマス処分という大きな負担が残されます。なお、焼却
という方法もありますが、安易に焼却するのは危険です。焼却中にセシウムが飛散し
たり、灰に放射性セシウムが濃縮されるため、特殊なフィルターを設置した焼却炉が
必要となったり、焼却灰の処理が必要になります。

4) ヒマワリ油について
種子中の放射性セシウムは水溶性のため種を絞ったあとの油には入りませんので、油
を利用できる可能性は高いと考えられます(ナタネでは、油が汚染されないことを実
証済み)。ただし、種皮には放射性セシウムが含まれますので、油粕の扱いには十分
な注意が必要となります。

以上のようなことから、ヒマワリについては、まだまだ検討されなくてはいけない点
も多く、チェルノブイリ救援・中部としては推奨できません。

2. 土壌浄化に対する考え方
1) 放射性物質のない土壌にする⇒表土剥離
土壌から放射性物質を完全に取り除く方法としては、物理的に除去する、すなわち表
面土壌の剥離しかありません。チェルノブイリでは、事故から25年経ったこともあ
り、土壌数10cm以上深くまで放射性物質が浸込こんでしまっていますが、福島では
まだ表面数cmに止まっていますので、表土剥離ができる可能性があります。放射性セ
シウムは土に非常に強く固着する性質がありますが、それでも数年、数十年と長い時
間が経てば地中深くまで浸透していきます。したがって、表土剥離するなら、ここ1
~2年で行う必要があると考えます。
放射能に汚染された(放射性セシウムが固着した)土の処分としては、現在のとこ
ろ、穴を掘って埋めて、その上に土をかぶせて一時保管するのが一般的です。埋めて
土をかぶせるのは、汚染された土が飛散するのを防ぐためと地表に出る放射線を少な
くし、作業者の外部被曝を減らすためです。また、最終処分場が決まったらそこに運
べるように汚染された土を包んでおくことが必要です。ビニールシートや土嚢などが
使われています。
ただ、広い面積の土地では表面数cmといっても土の量は半端ではなく、その処分・保
管には多くの課題を残しています。最終処分場の早急な確保と土の量を減らす方法の
開発が必要となりますが、まだ決め手がないのが現状です。最終処分場確保について
は、本来国と行政の責任ですが、最終的には東京電力と国が責任を負うべきです。行
政がなかなか動かない中、動きを促す提案(アイデア)が出せるかも重要な課題で
す。また、土の量を減らす方法として、放射性セシウムの多くが細かな土壌粒子の表
面に吸着している事を利用した次のような方法があります。一旦、土と水を混ぜて、
混ぜたときの濁った上澄み液を分離します。放射性セシウムは、沈殿した大きな土の
粒子よりは、上澄み液に含まれる細かな土壌粒子に多く分布しているので、それらを
時間をかけて沈殿させるか、あるいは砂ろ過などで分離します。澄んだ上澄み液やろ
過した水には放射性セシウムが含まれず、沈殿した細かな土に放射性セシウムが集ま
ります。この細かな土を処分するということにすると、処分する土の量を大幅に減ら
せる可能性があります。このような方法で大量の土を処理できるのかどうかは確認で
きていませんが、処分する土の量を減らすひとつの方向を示していると思います。

2) 土壌中の放射性物質の量を減らす⇒植物による吸収(バイオレメディエー
ション)
植物が土壌中の放射性物質を栄養分と一緒に吸い上げる性質を利用して、土壌中の放
射性物質の量を減らす方法(バイオレメディエーション)があります。セシウムは化
学的性質がカリウムと似ている為、植物がカリウムと一緒にセシウムまで吸収してし
まうのです。チェルノブイリ救援・中部がウクライナで実施している「ナロジチ再
生・菜の花プロジェクト」もこの方法を利用しています。
ただし、この方法では土に固着した放射性セシウムを吸い上げることは難しく、土壌
中の水分に含まれている放射性セシウム(水溶性セシウム)しか吸い上げることがで
きないため、土壌の放射能を短期間に大幅に下げることは期待できません。
では、何が期待できるかというと、ナタネ栽培で一時的に土壌中の水溶性の放射性セ
シウムがなくなることで、次に育てる植物に放射性セシウムが入りにくくなることで
す。菜の花プロジェクトにおいては、菜の花を育てた後に、放射性セシウムを良く吸
収するソバや、あまり吸い上げないライ麦や小麦を育てたところ、含まれる放射性セ
シウムの量がナタネでは数百ベクレル/kgであったものが、ソバやライ麦、小麦では
数十ベクレル/kg以下になりました。ナタネは連作障害があるので、同じ場所に毎年
作付けができませんが、その間の2~3年は別の作物を作っても汚染が少なくなるので
す。
これらのことから、土壌汚染が比較的低いレベルの場所(菜の花プロジェクトを実施
した畑の表面の放射線量率は0.6μSv/h、土壌中濃度は1000~2000ベクレル/Kg)
で、地理的な状況や土質などから表土剥離が難しい場合は、バイオレメディエーショ
ンを使うことが考えられます。ただ、被曝を避けるために、長時間の作業を控える、
土が身体に付着したり、土を吸い込んだりしないように気を付ける、作業後は身体に
着いた土を洗い落す、衣服は処分するか、他の衣服とは別に洗うことなどの注意が必
要になります。汚染レベルと作業方法についての具体的な基準はないので、どこまで
気を付けるかはケースごとに考えていく必要があります。
バイオレメディエーションにおいては、放射性セシウムを吸収することのみに特化す
るか、菜の花のように育てた植物の種から油を搾るなどして付加価値までを期待する
かで選ぶ植物が異なってきます。放射性セシウムの吸収に限れば、現状ですと、放射
性セシウムをよく吸い、地表数cmの浅い部分に根を張り、季節に応じて大きく育ち、
分解しやすく、土をやせさせないなどの条件をできる限り備えたものを選ぶというこ
とになります。この場合、菜の花よりも適した植物は多くあります。そして、その後
は放射性セシウムを吸収しにくい作物を選んで植えます。いずれにしても、土壌の
質、選ぶ作物や育て方(肥料のやり方など)によって放射性セシウムの動きが異なっ
てきますので、放射線量を測定しながら工夫を積み重ねていく必要があります。チェ
ルノブイリ救援・中部では、バイオレメディエーションについて、菜の花プロジェク
トをはじめ論文等データがしっかりと取られている情報を提供していこうと考えてい
ます。

3) 菜の花プロジェクトについて
チェルノブイリ救援中部は、ウクライナのナロジチ(チェルノブイリ原発事故で高い
放射能汚染を受けた地域、原発から西方70Km)で菜の花栽培による土壌浄化実験(菜
の花プロジェクト)を行っています(ヒマワリの実験は行っていません)。ナロジチ
の場合、放射性物質(主にCs137とSr90)が地表から数10cmまで浸透していることか
ら、まず表土剥離は不可能で逆に植物の根から放射能を吸収するのには向いているこ
とから実験が始められました。菜の花が選ばれたのは、次のような理由からです。
・ 放射性物質をよく吸うという報告があったこと(最良ではありませんが)
・ 油(バイオディーゼル燃料BDF)としての利用が考えられたこと
・ バイオマスを発酵・分解させ発生するバイオガスを利用出来ること
・ 分解液(バイオガス廃液)から放射性物質を吸着(ゼオライトが有望)して
取り除き、分解液は液体肥料として利用可能なこと
 しかし、いきなり実用化はできないので、ひとつひとつデータを取りながら5年の
歳月をかけて実験をしているところです(今年5年目になります)。その中で分かっ
てきたことは、はじめ土壌中の放射能のほとんどを吸い上げられるのではという期待
もあったのですが、それはとても無理で、土壌中の放射性物質は大半が土と強固に
くっついていて、ほんの一部水分中に溶け出した放射性物質のみ吸い上げられるとい
う事実でした。一旦は落胆したのですが、その後、菜の花を植えた後に放射能を吸い
上げにくい別の作物を植えると、その作物は放射能で汚染されないということも分
かってきて希望が湧いてきました。つまり、土壌の放射能レベルを下げることはでき
ませんが、作物栽培が可能な状態を作れるということが分かってきたのです。また、
菜の花のどの部分にどのくらいの放射性物質が吸収されるかも分かってきて、油には
放射性物質は移行せず利用が可能であることが確認されました。それによって、BD
Fの生産が可能となりました。また、バイオマスのメタン発酵および分解液中の放射
性物質の吸着については検証中ですが、種皮(油粕)で十分なバイオガスが発生する
こと、分解液中の放射性物質がゼオライトで吸着できることも分かってきました。
 このように、菜の花プロジェクトは、ナロジチの状況を考慮した上で計画が立てら
れ、一つひとつ実験をして確かめながら進められています。

3. 最後に
 ヒマワリやバイオレメディエーションに対して、一部否定的な見解も示しました
が、確かなデータに基づいた情報を基に計画を練って行動を起こさないと、放射能汚
染されたままの土地とバイオマスが残ってしまうことになりかねないことを危惧して
のことです。1日も早く何とかしたいという気持ちも強いと思いますが、1日でも良
いので立ち止まって考える時間を設けて進めた方が良いと思います。そのように考え
る方々の力に少しでもなれたら幸いです。

以上(執筆 池田, 監修 河田)

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